オフセット印刷とオンデマンド印刷名刺比較 安いだけでなく品質も重要

はじめに

名刺のオフセット印刷とは?
印刷には大きく分けて「オフセット印刷」と「オンデマンド印刷」の2種類があります。
名刺も同様に「オフセット印刷」か「オンデマンド印刷」のどちらかの印刷方法で印刷されています。この2種類の印刷方法は根本的に違っており、その違いについて以下で詳しく説明をしていきます。これは一般の方が印刷物を購入しているにも関わらず知らなかった知識(情報)であり、言い換えると印刷業者が詳しく説明してこなかった点でもあります。

 

印刷物の購入にあたり

一般的に商品を選ぶには品質、価格、アフターフォローその他いろいろな条件で考えるものです。家電製品をはじめ店頭で販売しているものをネット販売で買う場合はお店で実物を確認し、店員の説明を聞いてからネットで購入するという方もいらっしゃるようです。
印刷物はカスタムオーダー品ですので確認できる完成品が無いと言っても過言ではありません。特に名刺は個人の情報が入っていますので完全オーダー品です。
完成品に破損、汚れなどの瑕疵が見つかった場合以外は返品や再印刷には応じてもらえません。そのような状況で名刺販売サイトを選ぶにあたり、現状のサイトの案内で満足できるものでしょうか?私は一般の方への説明は少ないと考えています。

名刺の品質とは

名刺の品質と言われるとまずは用紙のことを想像しますが、印刷工場を見学すると用紙、インク、印刷方法(裁断・乾燥も含む)が名刺の品質に影響すると理解できます。
用紙に関してはサンプルを入手することで確認できます。インクに関しては、印刷会社は公表していないことが多いですが、品質上では大きな問題がでることはほぼないと捉えていいでしょう。印刷方法とそれにかかわるインクの種類が購入する前に品質としてチェックしておきたいポイントであり、この部分が一般消費者に不透明な部分です。

私は平成27年5月に「セルフオリジナルデザイン名刺の印刷販売システムの構築と提供」で格安名刺の印刷システム構築に関して『経営革新計画』の承認を取得しています。その際にオフセット印刷とオンデマンド印刷の違いを説明する必要がありましたので調べましたが、購入するという立場の一般の方には知らされていないことが多いと感じています。

この記事では印刷方法について説明をしていきます。

オフセット・オンデマンド 印刷方法の違い

印刷方法は大きく分けるとオフセット印刷とオンデマンド印刷の二つがあります。詳細は下記で説明しますがこの違いが印刷方法による品質の大きな差異につながります。

オフセット印刷とは

オフセット印刷とは「印刷方法」のことで、下の図―1で示している通り、印刷版と印刷される紙とは直接触れることがなく、一度ゴムブランケットと呼ばれるゴム製のローラーに転写し、それから紙やその他の印刷用素材に印刷する方法です。

オフ・セット(Off   Set)ではなく、オフセット(Offset)の一単語で表され、印刷用紙版が印刷用素材と離れていることが「オフセット印刷」の語源で、細かいところまできれいに印刷できることや、高速印刷ができることなどが特徴です。雑誌、包装紙、書籍などの商業印刷にも採用されています。かつて活版印刷を採用していた新聞社もほとんどが1980年代以降はオフセット印刷を採用しカラー版になっています。

昨今の名刺はロゴを入れるのはもちろん、背景に模様を入れたりするカラフルな名刺がとても多く採用されています。
従来のスミ1色では「凸版印刷」で印刷出来ましたが、カラー名刺を採用するころから「オフセット印刷」で印刷する方向に切り替わりました。

 

オフセット印刷の原理

図―1 オフセット印刷の原理

 

  1. 版に浸し水及びインキを与える
  2. インキを版からブランケットへ移す
  3. ブランケットから紙にインキを移す

印刷機メーカーでは世界のトップシェアを持っているハイデルベルグ(Heidelberg)が有名ですが、日本の小森コーポレーション、三菱重工印刷紙工機械などがあり、ハイデルベルグの牙城を崩さんと近年シェアを伸ばしてきています。

オンデマンド印刷とは

オンデマンドとは「要求に応じて」という意味の英語【On demand】からきており、厳密には「印刷方法ではありません」。

オンデマンドは小ロットを短期間で納品するという印刷のビジネススタイルであり、POD(Print on demandプリント・オン・デマンド)とも呼ばれています。
オフセット印刷でも小ロットを短期間で納品すれば「オンデマンド」ということになりますが、大量印刷が可能になったオフセット印刷に対して小ロットで印刷することをオンデマンドと呼び始めたという説もあります。

印刷機器メーカーでは、フジゼロックス、キャノン、コニカミノルタ、リコー、ヒューレットパッカードが有名です。

リコーのデジタル印刷機

リコーのデジタル印刷機(リコーHPより)

ここでは版を利用して印刷するオフセット印刷に対して、デジタル印刷で代表される版を作らない、印刷データをコンピューターから直接印刷機に送信し印刷する無版の印刷方法をオンデマンド印刷と設定して説明を進めます。

オフセット印刷、オンデマンド印刷のメリット・デメリットをそれぞれ書き出すと下記のようになります。

オフセット印刷の特徴

《オフセット印刷のメリット》

  • オンデマンド印刷に比べ印刷完成精度と画質は優れている。
  • インク(液体状)を使用し、紙に染み込ませているので紙の表面が剥がれても印刷されたものは簡単には消えません。
  • 高速印刷が可能。
  • 対応できる用紙はA1以上に対応できる。

《オフセット印刷のデメリット》

  • 乾燥に時間がかかる。

オンデマンド印刷の特徴

《オンデマンド印刷のメリット》

  • オフセット印刷より少ない人数で操作でき、また高いスキルのオペレーターを必要としないので人件費を抑え、人的ミスを減らすことができる。その結果低価格で注文できる。
  • 版を作らないので製版費用がかからない。
  • 乾燥に時間がかからない。

《オンデマンド印刷のデメリット》

  • 対応できる用紙がA3ノビまでがほとんど。
  • 単価は数量にかかわらず一定であるので数量が増えるとランニングコストが高くなる。
  • 平網などの場合、ムラが出ることが多い。

実際にオフセットとオンデマンドの印刷品質について比較してみると、次のような特徴があります。

オフセット印刷とオンデマンドの違い(ルーペで網点を覗いてみた)

  • 6倍ルーペ
    6倍ルーペ
  • ペンルーペ
    ペンルーペ

6倍ルーペで平網を比較してみると、オフセット印刷とオンデマンド印刷の差がハッキリ出ます。
オフセット印刷は網点がクッキリし、きれいに表現されますが、オンデマンド印刷網点がクッキリせず、斑模様になってしまいます

  • オフセット印刷
    オフセット墨
    オフセットカラー
  • オンデマンド印刷
    オンデマンド墨
    オンデマンドカラー

ペンルーペ(25X)で網点を覗いてみました。
オフセット印刷では、点がハッキリ表現されています。
オンデマンド印刷では、良く見るとYの点が混じってしまっています。オンデマンド印刷特有の現象です。

  • オンデマンド-ルーペ-色

名刺の完成品でオフセット印刷とオンデマンド印刷を比較

名刺のオフセット印刷とオンデマンド印刷の違いは、オンラインサロン「ヨッセンスクール」を運営されている、香川県在住のプロブロガーのヨスさんの記事が非常に参考になります。(ヨスさんより画像掲載の許可を頂きました。ヨスさん有り難うございます!)

画像は実際にヨスさんが購入されたご自身の名刺です。
※ヨスさんのコメントはダブルクォーテーション(””)で囲っています。

発色の違い粗さ角のシャープさや小さな文字の品質の差をヨスさんは指摘されています。

オフセット、オンデマンド印刷では発色に差がでる場合も

オフセット、オンデマンド印刷では発色に差がでる

(上がオフセット印刷、下がオンデマンド印刷。)

パッと見てわかるのが、発色が違いすぎますね。肌色とオレンジの色の鮮やかさが、上側(オフセット印刷)の方が断然きれいです。

オンデマンド印刷では粗さが目立つ事も

オンデマンド印刷では粗さが目立つ事も

左オフセット印刷 右オンデマンド印刷

ね? 肌とオレンジの部分が顕著ですが、オンデマンドの方がかなり荒いですよね。

家庭用プリンターの「性能のいいやつ」というのがわかるかと。

オンデマンド、オフセット印刷では角のシャープさに差がでる

オンデマンド、オフセット印刷では角のシャープさに差がでる

角のシャープさが違う(左: オフセット印刷・右: オンデマンド印刷)

上のように、四角みたいに角があるものだとその差がよく伝わりますねー。シャープさが違います。

オンデマンド、オフセット印刷では小さい文字の品質に差がでる

そして、トドメが小さい文字!

オンデマンド、オフセット印刷では小さい文字の品質に差がでる

小さい文字になるとクオリティの差が歴然(左: オフセット印刷・右: オンデマンド印刷)

小さい文字になると、ここまで差が出るんですねー。この差はすごい!

右側の「オンデマンド」の方はもはや文字がガタガタです。「ブログ」の「ロ」なんてガクガクですね。

ヨスさん運営のブログ「ヨッセンス」の中の
オフセット印刷とオンデマンド印刷の名刺を作って比べてみたら…」より
画像掲載の許可を頂き引用させて頂きました。

ヨッセンス

 

このように専門家の分析からも使用者の完成品に対する比較からもオフセット印刷とオンデマンド印刷の違いは印刷依頼者に伝えなくてはいいレベルの差ではないと思われます。

では、印刷者側の考えはどうでしょう。名刺印刷に関してのオフセット印刷とオンデマンド印刷の特徴を印刷会社のサイトで調べるとおおむね次のような共通認識があるようです

小ロットの名刺印刷にはオンデマンドが向いており、大量印刷にはオフセットの方が割安になる。

日本国内において言えば、オフセット印刷は小ロット向きではありません。小ロット対応はオンデマンドとされています。(国内のオフセット印刷ではオペレーターの人件費が高いためかもしれません。)

 

しかし、果たしてこれが正解でしょうか?

 

購入者・使用者の立場から言わせてもらうと「小ロットでも印刷品質のいいオフセット印刷で安く名刺を印刷してほしい!」ではないでしょうか?

実際に、最近では小ロットで高品質なオフセット印刷を低価格で提供することは可能になってきています。(青山デザインカードもそれを実現できるサービスの一つです。)印刷業者の都合でオンデマンド印刷が少量格安名刺に向いているという考えはもう通用しなくなっています。

オフセット印刷名刺 価格相場

 

名刺印刷価格比較表 マットコート紙系オフセット印刷(安い順にソート)
安い順
ランキング
サービス名 印刷方法 用紙 厚さ 枚数 送料 消費税 備考
100 200 300 400
1 青山デザインC オフセット マットコート 198kg
(230g/㎡)
¥380 ¥800 ¥1,200 ¥1,600 有料:備考参照 商品代に含まれる ケース別に設定されている 例100枚では¥540
2 アドプリント オフセット マットコート 180kg ¥890 ¥1,180 ¥1,400 ¥1,660 一部の地域を除き¥500 商品代に含まれる 北海道・東北・九州・沖縄は¥600
3 グラフィック オフセット マットコート 180kg ¥1,560 ¥1,650 ¥1,750 ¥1,850 有料:備考参照 商品代に含まれる ¥1,000以上の発注で送料無料
? プリントパック ※1 マットコート 180kg ¥960 ¥1,155 ¥1,350 ¥1,410 商品代に含まれる 商品代に含まれる ?
? 東京カラー印刷 ※1 マット 180kg ¥960 ¥1,155 ¥1,350 ¥1,410 商品代に含まれる 商品代に含まれる ?

※1・・・ 3,000部まではオフセット印刷またはオンデマンド印刷、どちらになるかは印刷会社へ一任

☆上記マットコートのような一般的な名刺では100枚の平均市場価格は¥1,500と推測されています。有名ネット販売会社はどこも平均値を下回っています。

オフセット印刷名刺おすすめサービス

上記説明でご理解いただけたと思いますが、印刷方法により印刷結果が違ってくるだけでなく原価にも影響してきます。

格安名刺販売サイトではこの部分を十分に説明していないところが多くあります。
最大手のプリントパックと東京カラー印刷では名刺印刷を3,000部までの印刷はオフセット印刷かオンデマンド印刷になるかは発注者側には知らされずに印刷会社側に一任することを価格表の下に小さく書かれており気づかない人が多いと想定されます。

原価が違うものを同じ売価で販売することでよいものでしょうか?と疑問を抱いてしまいます。
グラフィックのようにオフセットとオンデマンドの両方の印刷方法を購入者が選べる形にしてあるものが当たり前だとおもいます。

青山デザインカードではオフセット印刷とオンデマンド印刷両方可能ですが、品質と価格を考慮しオフセット印刷のみを採用しております。高品質で低価格の商品提供が消費者には最大のメリットであると捉えています。

オフセット印刷名刺 対応用紙

用紙の特徴一覧
用紙 用紙個性 用紙光沢度 色再現性 にじみ 写真 風合い その他特徴
コート 表現力が高く、色の再現性に優れています。
また、表面にウォーターインクが施されます
マットコート マット調の紙で落ち着いた雰囲気を醸し出します。
色もきれいに表現できます。一般的に使われている用紙です。
ケント × × 風合いがあり温もりある用紙ですが、色味が沈みがちになります。
ラミコート コート紙に印刷した後に光沢感のあるラミネートを施したもので、
写真や色が綺麗に表現できます。
マットラミコート × コート紙にマット感のあるラミネートを施したもので、落ち着いた雰囲気を表現できます。
スベスベした手触り感が特徴的ですが、マットラミネートをすることで若干色の再現力が劣りますが、多くの方に人気のある用紙になります。
エンボス ウェーブ ドット柄のように見えるこの用紙も、よく見ると細かなウェーブ柄で細かな凹凸のある用紙です。
独特の手触り感が特徴的です。
きぬおり × 細かな絹目模様を持ち、落ち着いた表現ができる用紙です。
印刷した時の色味が沈みがちですが、独特の雰囲気を醸し出せる特徴を持っています。
合成紙 × 樹脂系を主原料とし、マット感を持ち、水に強く、
破けにくいのが特徴的な用紙です。
細紋バガス × ファンシー系で細かな凹凸を持ち、独特の風合いと手触り感が特徴の用紙です。
インクの吸収率が良いため、多少色味が沈みがちになりますが、独特の雰囲気を醸し出すことができます。
白炫パール パール調で印刷面にもパールっぽさが表現できる用紙です。
紙自体の角度が変わることによりホワイト感やオフホワイト感を表現します。
ECOケント厚口 × × 程よい風合いを持ち手触りが特徴的で環境に配慮した再生紙です。
インクの吸収率が良いため、色味が沈みがちになりますが、用紙自体、温もりを伝えることができるのが特徴的です。
スケルトン × × PP素材を利用した片面のみ印刷できるものです。
デザイン性はもちろんですが、耐久性にも優れ、お洒落な名刺に仕上がります。

オフセット印刷でよくある質問

顔写真付きの名刺の場合はオフセット印刷の方が適していますか?

オフセット印刷とオンデマンドの違い(ルーペで網点を覗いてみた)」でその違いを図示している通りの違いがあります。写真(顔写真)入りの名刺は高精細で表現できるオフセット印刷の方が綺麗に仕上がります。

青山デザインカードで作成したオフセット印刷の写真入り印刷の例

「むつカフェ」のショップカード-1

即日出荷対応ができるオフセット印刷名刺のサービスはありますか?

印刷会社の対応による為、ここではイエス・ノーは言えませんが、オフセット印刷の基本的な工程の①版を作る工程 – ②インクを乾燥 – ③仕上がり断裁の流れを考慮すると少々時間がかかる為、即日出荷を行えない印刷会社が多いようです。

まとめ

商品購入に関しては品質を加味した上での価格比較が重要です。印刷に関する品質とは手で触れる用紙のみではなく印刷方法も含まれるということを考えていただき高品質低価格のものを選びたいです。オフセット印刷で低価格の名刺販売サイトを選ぶようにしましょう。